名取晴甫先生との思い出 |
初めてサンアゼリアホールに入った時、しっくりした内装と響きの良さに、「こんなにいいホールを市民が使えるようになったのは、たいへん喜ばしいことだ」と強く思いました。楽器はホールという器に乗って初めて、その楽器の最も良い状態の音になります。このホールで生の音の良さを体感した子供たちの中から、大人になって、例えば音楽家や良いスピーカーを作る人材が出てきたりというように、目に見えないところで相乗効果が出てくるのではないでしょうか。 |
ベートーヴェンは、1770年に生まれ、1827年12月26日に57歳で亡くなりました。彼は、6歳頃からピアノの才能を発揮したので父親が、モーツァルトのように神童として人前へ連れ出して弾かせようとしました。しかし、ベートーヴェンは神童というよりも、ゆっくりその才能を伸ばしていくタイプだったので、うまくいかなかったようです。 |
最後に第九シンフォニーについてですが、この曲は、一般には47歳から着手し、54歳のときに完成したとされています。ベートヴェンはシヤルロツテ・フォン・シーラーの詩にずっとこだわり続けていたので、着手する4年くらい前にも、彼の詩をなんとか音符に表現しようとスケッチした痕跡が見つかっているのです。1824年2月ごろ脱稿した第九は6年かかったといわれていますが、実際には10年くらいかかっていると思われます。 |